「案件は取れてるのに、利益が思ったより残らない」
「エンジニアの稼働率が見えづらい」
「人を増やす判断がしにくい」
――そんな悩みを感じたことがある経営者の方へ。
数字が見えない理由は、「自社に必要な数字を整える仕組み=管理会計」がないからかもしれません。
「管理会計」は、自社の意思決定のために“自由に設計できる数字のしくみ”です
管理会計とは、税務や銀行提出用の財務会計と違い、社内の経営判断に使う数字を整えるための会計です。
✅ 法律に縛られない(=自社でカスタマイズしてOK)
✅ 「利益の源泉」がどこかを可視化できる
✅ プロジェクト別、社員別、サービス別に数字を分解できる
たとえば、「どの案件が利益を出していて」「どの人員配置が効率的なのか」が見えてきます。
システム開発会社にありがちな「見えない数字」
システム会社では、売上が案件ごとに入ってきても、次のような疑問が起きやすいです:
-
案件別の粗利が出ていない(売上−外注費・人件費が見えない)
-
エンジニアの稼働率が把握できていない(ムダな空き時間がある)
-
フェーズ別に利益を食っている部分が不明(要件定義が赤字…など)
-
自社開発サービスのコスト構造が把握できない(販促・保守費が重い)
こうした課題に対応するには、見たい単位で数字を整理する「管理会計の仕組み」が必要です。
システム開発会社が管理すべきKPI(業績指標)例
以下は、IT・システム会社でよく使われる管理会計上のKPI例です。
KPI名 | 内容 | 活用シーン |
---|---|---|
プロジェクト別粗利率 | (売上 − 外注費 − 稼働人件費)÷ 売上 | 赤字案件の早期発見、受注判断 |
エンジニア稼働率 | 稼働時間 ÷ 所定労働時間 | リソースの最適化、稼働調整 |
単価別工数構成 | 高単価業務にかけた時間割合 | 高付加価値業務への注力度 |
受注単価/工数 | 1案件あたりの平均売上 ÷ 工数 | 見積精度、案件採算の判断に |
営業活動KPI | 見積提出数、成約率など | 案件獲得率、営業効率の可視化 |
案件別キャッシュ着地 | 受注から入金までの期間と現金残 | キャッシュフロー予測、運転資金管理 |
自社開発製品のLTV | 顧客あたりの継続課金 × 継続期間 | サブスク・保守契約の戦略判断に |
「プロジェクトごとに数字を残す」が管理会計の第一歩
まずやるべきことはシンプルです:
-
案件別に売上と外注・人件費を集計する
-
稼働表と工数管理を連携させる
-
粗利率の高い案件と低い案件を比較する
これを継続すれば、「自社に合った受注基準」「利益率を守る進行管理」「人の配置の最適化」が見えてきます。
まとめ
システム開発会社は、見積り→受注→納品→保守とプロセスが長く、利益の見える化が遅れがちです。
でも、「今、何が儲かっているのか」「誰にどんなリソースをかけているのか」を把握しなければ、次の成長ステージには進めません。
管理会計は、“数字で経営する”ための自社専用の地図。
まずは、「どの数字が見えたら意思決定しやすいか」から設計してみましょう。
コメント