管理会計ってなに?“自社で使える数字”の考え方 ー保険代理店の例ー

経営者やNo.2の立場にいると、「数字に強くならなきゃ」と思うことはありませんか?
でも、財務諸表を読めるようになることと、会社の意思決定に使える「数字」を持つことは別の話です。
今回は「管理会計は、自社で把握したい数字を管理するためのもの」という基本的な考え方を、保険代理店の経営に置き換えて解説します。

管理会計とは?「経営に使える数字」を整えるもの

管理会計とは、社外向けではなく、自社の意思決定のために使う会計のこと。
月次決算や原価計算などの手法を通じて、「自社にとって重要な数字」を見える化し、現場の判断や戦略立案に活かします。

  • 財務会計:主に税務署や金融機関など“外部”に向けたルールベースの会計

  • 管理会計:社内で使う“自由度の高い”会計。会社ごとに「見たい数字」は違ってOK

保険代理店で「管理したい数字」は何か?

保険代理店では、主な収益源は保険会社からの手数料収入です。
このビジネスモデルにおいて、以下のような観点で数字を整理すると、現場にとって使える指標になります。

1. 収益構造の把握

  • 保険会社ごとの手数料率

  • 新規 vs 継続契約の収入比率

  • 担当者別の手数料収入

2. 経費の整理

  • 広告宣伝費、交通費など変動費扱いにすべき費用

  • 人件費や店舗家賃など固定費

ここでのポイント:手数料収入は「売上」ですが、それを生み出す営業活動にかかる費用を、どう分解して把握するかが管理会計の腕の見せ所です。

手数料収入は「固定費」か「変動費」か?

これはよくある議論です。

  • 保険代理店の立場から見ると、手数料収入は「売上」です。

  • その収入を得るためにかかった営業経費や人件費を「費用」として扱います。

では、営業担当へのインセンティブ(歩合給)は?

  • 売上に比例して増減するもの=変動費

  • 一定の月給など=固定費

つまり、「人件費の中でも変動する部分」と「固定されている部分」に分けて考えるのがポイントです。

管理会計では、“目的に応じて”分類ルールを変えてもいいという自由さがあります。

参考にしたいKPI(保険代理店編)

以下は、保険代理店が管理会計上で把握したい代表的なKPIの例です。

KPI名 内容 活用例
契約1件あたりの獲得コスト 広告費+営業費用 ÷ 契約数 広告戦略や営業効率の見直しに
担当者別の粗利益 手数料収入 − 直接人件費 成果評価や報酬制度に活用
解約率(継続率) 継続契約数 ÷ 契約総数 サービス品質や顧客対応の改善に
新規契約獲得数 月ごと・担当者ごとに 営業計画の達成度を可視化
LTV(顧客生涯価値) 1契約あたりの平均継続年数 × 年間手数料 中長期的な営業戦略の設計に

まとめ

管理会計に「正解の形」はありません。
自社のビジネスモデルに合わせて、見たい数字・使える数字を自分たちで整えていくのが管理会計の本質です。
まずは「どんな数字が見えたら判断しやすいか?」を現場と一緒に話し合ってみてください。

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