「自分の給与のことを社長に言い出せない」 No.2として働く人が、誰にも言えずに抱えている悩みのひとつです。 会社のために動き、社長を支え、現場をまとめる。その責任と仕事量は確実に増えているのに、待遇はなかなか変わらない。「言ったら関係が壊れるかも」「せこいと思われるかも」——そういう遠慮が、何年も続いていることがあります。 しかし、待遇が正当に評価されないまま働き続けると、いつかモチベーションの底が来ます。そのとき会社が失うものは、あなたの給与以上に大きいものです。 この記事では、No.2が自分の給与・待遇を社長に伝えるための「話し方の型」を整理します。
なぜNo.2は言い出しにくいのか
No.2が給与交渉を躊躇する理由は、主に3つあります。 「会社のため」という自己犠牲の刷り込み。No.2という立場は、「自分より会社を優先する人」として評価されてきた経緯があります。自分の待遇を求めることが、その姿勢と矛盾するように感じてしまう。 社長との関係を壊したくない。日々近くで働いている分、その関係を壊すリスクを大きく感じます。「お金の話をすることで、信頼が崩れたら」という恐れです。 「言っても変わらない」という諦め。過去に軽く流された経験や、「うちにはそんな余裕がない」と言われた経験が、次の行動を封じます。 しかし、これらはすべて「言い方の問題」で乗り越えられます。
大前提:「要求」ではなく「提案」として届ける
給与交渉で失敗する人の多くは、「もっと給与を上げてほしい」という要求の形で伝えます。 要求は、社長に「コストをかけろ」という圧力として届きます。防衛反応が起きやすく、「今は難しい」「みんな同じ条件だから」という返答になりやすい。 No.2の給与交渉は、「提案」の形を取ることが重要です。 「私にこれだけ投資すると、会社にこういうリターンがある」という文脈で届けることで、社長は「コスト」ではなく「投資判断」として考えられるようになります。
話し方の型
ステップ① 自分の貢献を言語化する
交渉の前に、自分がやってきたことを具体的に整理します。担当している業務の範囲、入社時と比べて増えた責任、自分がいなければ誰がやるか——これらを書き出すことで、話の根拠が生まれます。
ステップ② タイミングを選ぶ
避けるべき場面:会社の業績が落ちているとき/社長が別のストレスを抱えているとき/突然、他の話題の流れで切り出すとき 適したタイミング:会社の業績が上向いているとき/自分が大きな成果を出した直後/期初・評価面談など待遇を話す文脈があるとき 「話があるのですが、少し時間をいただけますか」と事前に予告して、1対1の場を作ることが基本です。
ステップ③ 伝える構成
1. 現状の確認から入る 「今の私の役割について、少し整理してお伝えしたいことがあります」 2. 貢献の事実を伝える 「現在、〇〇・〇〇・〇〇を担当しています。入社当初と比べると、責任の範囲は△倍ほどになっています」 3. 自分の意志を伝える 「この会社でNo.2として貢献し続けたいと思っています。だからこそ、きちんと話しておきたいことがあります」 4. 具体的な希望を伝える 「現在の待遇について、見直しを検討していただけないでしょうか。〇〇万円程度を希望しています」 5. 判断を委ねる 「もちろん最終的な判断は社長にお任せします。ただ、私の状況と気持ちをお伝えしたくて、今日お時間をいただきました」
「今は難しい」と言われたときの返し方
社長から「今はちょっと……」という反応が来ることは珍しくありません。そのときのために、次の言葉を準備しておきます。 「わかりました。では、どういう状態になれば検討していただけますか?」 「難しい」を「いつなら可能か」に変換することで、話を終わらせず、具体的な基準を作ることができます。 「売上が〇〇万円を超えたら」「次の期に入ったら」——社長が条件を口にしたなら、それは約束の起点になります。
給与以外の待遇も視野に入れる
給与だけが待遇ではありません。交渉の選択肢を広げることで、話が進みやすくなることがあります。 ・役職・肩書きの明確化(副社長、取締役、執行役員など) ・業績連動の賞与 ・経費・研修費の充実 ・在宅・フレックスなど働き方の柔軟化 ・将来の株式・持分の検討 「給与そのものは難しい」という状況でも、他の形で会社への貢献に報いる方法を一緒に考えることができます。
言わなければ、何も変わらない
社長も、No.2の本音をすべて把握しているわけではありません。 「満足してくれているだろう」「言ってきたら考えよう」——そう思っている社長は多い。つまり、言わなければ何も変わらないことがほとんどです。 給与交渉は、自分の価値を主張することではありません。会社に長く貢献するために、関係をきちんと整えることです。 遠慮して黙ったまま疲弊するより、きちんと話して、正当に報われる関係を作る方が、会社にとっても、あなたにとっても、ずっといい結果をもたらします。
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