はじめに:その「親切」、ちょっと違和感ありませんか?
最近、夫がBNIや全国福利共済のようなネットワークビジネス系の勧誘を受けることが続きました。
その中でよく言われるのが、「これはあなたのためになるから」「絶対に損はさせません」という言葉。
一見すると、親切で誠意のあるような言い回し。でもなぜか、こちらの心には引っかかりが残るのです。
今回は、このモヤっとした違和感の正体を、「顧客のために」と「顧客の立場で」という二つの視点から考えてみたいと思います。
「顧客のために」は、売り手の視点(=対面の関係)
「顧客のために」という言葉は、一見顧客思いのようでいて、実は“売り手の主観”で動いていることが多くあります。
「良かれと思って」「きっと役に立つはず」といった気持ちは、決して悪いものではありません。
けれど、その“良かれ”は本当に相手にとっての最適解なのでしょうか?
この視点には、どこか「向かい合っている」関係性のイメージがあります。
つまり、自分は相手をよく見ているつもりだけれど、同じ方向は見ていないという状態。
たとえば…
「この保険は、将来きっと役に立ちますよ」
→ でも今の家計はどうか?すでに加入している保険は?
相手の生活状況を理解せずに提案していない?
このように、“顧客のため”が、実際には営業ノルマのためだったり、売り手の善意の押しつけになっていることがあります。
3. 「顧客の立場で」は、買い手の視点(=並走の関係)
一方、「顧客の立場で考える」というのは、相手の状況、タイミング、感情を丁寧に想像しながら行動するということです。
もし自分が相手の立場だったら、今このタイミングでこの商品やサービスが本当に必要だろうか?
そのような想像力を持って、相手に寄り添った言葉や判断を選ぶのが「顧客の立場で」の姿勢です。
この姿勢には、「並んで同じ方向を見ている」イメージがあります。
いわば、一緒に未来を見つめながら歩いていくような関係性です。
たとえば…
「お話を聞いた感じでは、今はまだ決めなくて大丈夫かもしれませんね」
→ 無理に売らず、タイミングを大切にする姿勢
4. 恋と愛の関係に、少し似ている話
この「向き合う」か「並んで見る」かという違いは、恋愛の中でもよく語られています。
恋は向かい合うこと。愛は同じ方向を見ること。
恋は夢中になって相手を見つめる、自己完結的な感情。
愛は相手の人生や未来に寄り添い、共に歩こうとする感情。
それと同じように、
- 「顧客のために」は恋のように、熱くても独りよがりになりがち。
- 「顧客の立場で」は愛のように、信頼と共感に基づいた関係性。
押しつけられるように感じた「あなたのため」という言葉が、
本当に私の立場や未来を見てくれていたら、違った印象を持てたかもしれません。
5. まとめ:共感は押し付けを超える
- 「顧客のために」は、善意でも自己完結しがち。
- 「顧客の立場で」は、相手の状況に寄り添う視点。
- 本当に相手のためを思うなら、「売らない選択」も含めて提案を考えるべき。
言葉や行動の主語が「私」ではなく「あなた」になったとき、
顧客との関係は、もっと自然であたたかいものになるはずです。
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