── 小さな判断に追われて、大きな判断を誤らないために ──
はじめに:その疲れ、実は「決断疲れ」かもしれません
「なぜか夕方になると頭が回らない」
「忙しいのに、重要な判断ができない気がする」
──そんな経験はありませんか?
多くの経営者やNo.2は、1日の中で数え切れないほどの判断をしています。
ですが、その判断のすべてが「重要な意思決定」とは限りません。
むしろ、「今日の服装はどうするか」「誰に先に返信するか」「この会議は参加すべきか」といった、
小さな判断の積み重ねに脳のエネルギーが消耗されているのです。
この状態を心理学では「決断疲れ(decision fatigue)」と呼びます。
脳のリソースとは何か?
人の脳には、1日に処理できる情報や決断の量に限界があります。
これは「意思決定の筋肉」のようなもので、使えば使うほど疲労していくのです。
スタンフォード大学の研究によれば、人は1日に平均35,000回の意思決定をしていると言われています。その大半は無意識のうちに行っているものですが、それでも脳は確実に消耗しています。
大事なのは、「どこに脳のエネルギーを使うか」です。
「脳のリソースを空ける」ための3つの工夫
1. ルーティンで意思決定を削減する
毎日同じ時間に同じ行動を取ることで、判断の必要がなくなります。
アップルのスティーブ・ジョブズは、常に同じ服装をしていました。
それは「服を選ぶ」というエネルギーすら省き、重要な判断に集中するためです。
中小企業経営者やNo.2も、
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朝のスケジュール
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曜日ごとの会議ルール
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決済の時間帯
などをルーティン化することで、脳の消耗を減らすことができます。
わたしはこれを、大人の時間割と呼び、作業を片付けていくのが好きです。
2. 「覚えておく」から「仕組みに任せる」へ
覚えておかなければならないことが多い状態は、常に脳が緊張状態にあるということ。
TODOリストやプロジェクト管理ツール(Notion・Trelloなど)を使えば、「考える前に見ればわかる」状態をつくれます。
また、たとえばこんな運用も有効です:
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毎週水曜の午前は、資金繰りチェックと請求書対応
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社員からの稟議はすべてSlackで統一、など
- 事業にかかわる会話はグループチャットを活用し、議事録代わりとする
仕組みに任せられるところは任せることで、脳を「大事な判断のために空けておく」ことができます。
3. 情報の入口を制限する
スマホの通知、無限に届くメール、SNSの情報…。
「何を見て、何を見ないか」を選ぶことも、実は大きな判断力の消耗です。
以下のような取り組みも効果的です:
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通知の一括オフ(特に就業時間外)
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メールチェックの時間を1日2回に限定
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Slackなどの通知ルールをチームで整備
これは、単なる「効率化」ではありません。
あなたの脳を守る戦略的な仕組みづくりなのです。
経営者こそ「判断の質」を守るべき
経営者やNo.2の仕事は、「手を動かすこと」ではなく「判断すること」。
しかし、その判断力が些細な選択や情報で摩耗してしまっては、本末転倒です。
脳のリソースを空ける=自分自身の“判断エンジン”を守ること。
これは、組織全体の未来を守ることにもつながります。
おわりに:まず「今日の選択肢」を減らしてみる
あなたの1日は、どれだけの「小さな判断」によって消耗されているでしょうか。
まずは、今日一日だけでも、「脳のリソースを空ける意識」で過ごしてみてください。
決断の質が変わり、仕事のスピードも確実に変わります。
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