借金も実力のうち?──それ、ただの勘違いです

「借金も経営力のひとつだ」
「銀行が貸してくれるなら、それは信用の証だ」

そう信じて疑わない中小企業の経営者は、少なくありません。たしかに一理あります。信用力があるからこそ借入できる、というのは事実でしょう。

しかし、それを「実力」とはき違えると、企業の命運を左右する大きな勘違いに繋がります。

今の中小企業の最大の問題は「借りすぎ」

実は、いまの日本の中小企業の多くは「借入金が多すぎる」という構造的な問題を抱えています。
その結果、自己資本比率が低く、財務の健全性を保てない企業が非常に多い。

ひどい場合には、債務超過──つまり「資産より借金のほうが多い」状態に陥ってしまっている会社も珍しくありません。

これはいわば、会社が酸化してボロボロになりかけているような状態です。表面は動いていても、内部では確実にダメージが蓄積しているのです。

「借金体質」に慣れてはいけない

もっとも深刻なのは、多くの経営者がこの状態を「普通」として受け入れてしまっていることです。
借入金に依存した経営が常態化し、危機感を持てなくなっている。

でも本来、借金=酸化の状態は、一時的なプロセスであるべきです。
利益を出し、キャッシュを積み上げ、借金を返済していく──つまり「還元」へ向かう努力がなされていなければなりません。

借入は「時間を買う手段」にすぎない

借金は経営の手段のひとつにすぎません。
売上が不安定な創業期、成長を加速させたい設備投資のときなど、「時間を買う」ために有効な選択肢ではあります。

ですが、それを常態化させてしまえば、企業の体力をむしばむ「財務的な病気」になります。
まるで酸化し続ける鉄のように、内側から崩れていくのです。

自己資本比率を意識した「筋肉質な財務体質」へ

健全な財務を築く第一歩は、自己資本比率を意識することです。
借金を減らし、内部留保や利益剰余金を積み上げていく。

「資金繰りを回すための借入」から、「戦略的に成長するための資本構成」へ。
この転換ができなければ、どれだけ売上があっても、企業は財務的に“老衰”していきます。

まとめ

借金は実力ではなく、一時的な手段にすぎません。
自己資本比率が低い会社ほど、財務の地盤沈下が進行します。
借金自体は悪ではありませんが、常態化すると企業体力をむしばみます。
酸化しきる前に、還元へと舵を切ることが重要です。

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