「会議が終わったのに、何も決まっていない」
そういう経験、ありませんか?
話は盛り上がった。でも結論が出ていない。次のアクションも不明確。そして翌週、同じ話題がまた出てくる。
この状況を変えられるのが、No.2の「ファシリテーション」です。
なぜNo.2が会議を回すのか
中小企業の会議は、多くの場合「社長が話す場」になりがちです。社長が問題提起し、社長が方向性を示し、社長が結論を出す。他のメンバーは聞いているか、求められたら答えるか。
この形の問題は、社長の思考がそのまま会議のアウトプットになることです。社長の気分や関心によって結論が変わり、議論が深まらず、現場の声が反映されない。
No.2が進行役を担うことで、会議の「質」が変わります。社長の発言に対して「では具体的には?」と問いを返せる、現場からの意見を引き出せる、議論がずれたときに戻せる——これができるのは、社長と現場の両方に近い立場のNo.2だけです。
ファシリテーターとしてのNo.2が持つ3つの役割
① 議論を「目的地」に向けて進める
会議には必ず目的があります。「この会議で何を決めるか」を最初に明確にすることが、ファシリテーターの最初の仕事です。
「今日は〇〇について方向性を決めたいと思います。まず現状の確認から始めて、30分で結論を出せるよう進めます」
この一言があるだけで、会議の密度が変わります。目的が共有されると、参加者は「今、自分は何に答えればいいか」がわかります。
② 発言を「整理」して意味づける
発言が続いているときに、No.2がやるべきことは静かに聞くことではありません。出てきた発言を整理して、意味を見えるようにすることです。
「今出ている意見を整理すると、AとBの2つの方向性があると思います。〇〇さんはAの立場、△△さんはBの立場でしょうか?」
この一言が、散らばっていた議論を一つの構造にします。参加者は「自分の意見がどこに位置づけられるか」がわかり、議論が前に進みます。
③ 「決定」と「宿題」を分けて終わらせる
会議の最後に最も重要なのは、「何が決まったか」と「何が持ち越しになったか」を明確にすることです。
「今日決まったことは〇〇です。持ち越しになった△△については、×さんが来週までに案を持ってきてくれることになりました」
この締めくくりがない会議は、次の会議でまた同じ議論が始まります。ファシリテーターの仕事は、会議が終わった瞬間だけでなく、「次の会議の質」まで設計することです。
社長がいる会議特有の難しさ
社長が結論を出してしまう問題。 議論の途中で社長が「要するにこういうことだろ」と結論を出すと、それ以上の議論が止まります。No.2はこのとき、「社長のご意見はAという方向ですね。他にご意見はありますか?」と他の声を引き出す形で続けます。社長の発言を否定せず、議論を止めない。
空気を読んで黙る問題。 社長が話しているとき、他のメンバーは反論や補足をためらいます。No.2は「〇〇さん、現場からはどう見えていますか?」と名指しで引き出す役割を担います。
脱線を止める問題。 社長は話が広がりやすい。関連する話題に移って、本来の議題に戻れないまま時間が来ることがあります。「話が深まってきましたが、今日の決めごとに戻らせてください」と穏やかに軌道修正するのもNo.2の仕事です。
会議の前にやっておくこと
アジェンダを事前に配る。 「何を話すか」を参加者が事前に知っていると、会議の密度が上がります。考えてきた人がいる会議と、その場で初めて聞く人の会議では、議論の深さが違います。
社長に事前に「今日の着地点」を確認しておく。 会議の場で社長が想定外の方向に話を進めることは珍しくありません。「今日は〇〇を決める会議という認識でよいですか?」と事前に一言確認しておくと、ずれが防げます。
発言しにくい人を把握しておく。 会議に出ても発言しない人は、意見がないのではなく、言いにくい状況にあることが多い。そういう人を事前に把握して、会議の中で引き出す準備をしておきます。
「進行役」は「決定者」ではない
No.2がファシリテーターを担うとき、「決定権は自分にある」という錯覚に陥ることがあります。議論を仕切っていると、自然と「決める人」のように振る舞いたくなる。
しかし、会議の決定権は社長にあります。No.2の役割は、社長が「より良い判断ができる状態」を作ることです。
「こういう結論でいかがでしょうか」と社長に確認して終わる——この形が、No.2のファシリテーションの正しい終わり方です。

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