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「うちには参謀がいない」
社長からこの言葉が出るとき、探しているのは「頭のいい人」とは限りません。多くの場合、自分の判断を一緒に確かめてくれる相手です。
あなたの会社にも、こんなすれ違いはありませんか?
- 社長は「参謀がほしい」と言う。でも、何をしてほしいのかは社長自身もはっきりしていない
- 「右腕になってくれ」と言われたけれど、求められているのが実務なのか、相談相手なのか分からない
- 参謀のつもりで意見を言ったら、「そういうことじゃない」と返された
どれも、参謀・右腕・番頭・調整役・No.2という言葉が、混ざったまま使われていることから起きています。
この記事では、まず参謀という言葉の意味と由来を押さえます。そのうえで、会社での参謀の役割、似た言葉との違いを比較表で整理し、参謀に向く人・向かない人までお伝えします。
参謀とは——ひとことで言うと「社長の決断を支える人」
参謀(さんぼう)とは、トップが最良の決断をできるよう、情報・選択肢・視点を整えて届ける人のことです。
会社でいえば、トップは社長です。参謀は、社長が「決める」ための材料をそろえる人、と言い換えてもかまいません。
ここに、いちばん大事な一線があります。
参謀は、決める人ではありません。
決めるのは社長です。参謀は、社長がよりよく決められる状態をつくる。決断そのものは、最後まで社長の手に残します。
「参謀なのに決めないの?」と思われたかもしれません。でも、この一線こそが参謀という言葉の芯です。理由は、言葉の由来をたどると見えてきます。
参謀の由来——もとは軍隊で司令官を支える専門職
「参」と「謀」の意味
参謀は、2つの漢字でできています。
- 参……加わる、あずかる
- 謀……はかりごと、計画
合わせると「はかりごとに加わる人」。決める人ではなく、計画の場に「加わる」人という字の組み合わせに、すでに役割があらわれています。
軍隊の参謀は「指揮権」を持たない
参謀は、もともと軍隊の言葉です。司令官のそばで作戦や部隊の動かし方を計画し、判断を支える専門の将校を指しました。
軍隊の参謀には、はっきりした特徴があります。
意見は言えるけれど、部隊に命令する権限(指揮権)は持たないということです。
命令を出すのは、あくまで司令官。参謀は情報を集め、状況を読み、取りうる作戦を並べ、それぞれがどうなりそうかを見立てます。そして、決断を司令官に委ねます。
近代の参謀制度と日本
いまのような参謀の仕組みは、19世紀のプロイセン(のちのドイツ)の参謀本部で形づくられたとされています。そこで参謀総長を務めたモルトケの言葉は、いまもビジネスの場で引用されます。くわしくはモルトケの法則で学ぶ経営者とNo.2の本当の仕事で書きました。
日本では明治11年(1878年)、ドイツの軍制にならって陸軍に参謀本部が置かれ、戦後の1945年に廃止されました。いまの自衛隊では「参謀」という呼び名は使わず、「幕僚(ばくりょう)」と呼んでいます。
「軍師」とは何が違う?
似た言葉に「軍師」があります。三国志の諸葛亮孔明を思い浮かべる方も多いと思います。
おおまかには、軍師は昔の物語や歴史の中で「主君に策を授ける人」を指す呼び方、参謀は近代の軍隊で組織として置かれた役職の名前です。
主君の判断を知恵で支える、という中身はよく似ています。違うのは、個人の知恵者として語られるか、組織の中の役割として置かれるか、というところです。
日本の戦国時代の「軍師」についても、少し補足しておきます。
実は「軍師」という役職は、戦国時代にはなかったとされています。江戸時代の軍記物などで広まった呼び方です。
戦国の初めごろ、いわゆる軍師(「軍配者」と呼ばれた人たち)の主な仕事は、出陣の日取りや方角を占ったり、お祓いをしたりすることでした。陣の組み方や戦い方を考える、参謀に近い役が主流になっていくのは、戦いの規模が大きくなった戦国の中ごろからだと説明されています。
| 軍師 | 参謀 | |
|---|---|---|
| 言葉の出どころ | 物語や歴史の中で語られる呼び方 | 近代の軍隊で置かれた役職の名前 |
| ひとりか、組織か | ひとりの知恵者 | 組織の中の役割。何人もいて分業する |
| 主君とのつながり | 個人的な信頼。外から招かれることもある | 組織の仕組みの中に置かれる |
| 会社で言うと | 社外から知恵を貸す人(顧問・コンサルタントなど) | 社内で、社長の決断を支える役割 |
会社で言えば、軍師の知恵は、その人個人についています。参謀は、人が替わっても働くように、社内で育てていくものです。
軍隊の参謀を、会社に置き換えると
由来が分かったところで、会社に置き換えてみます。
| 軍隊 | 会社 |
|---|---|
| 司令官 | 社長 |
| 参謀 | 社長の判断を支える人(No.2・幹部など) |
| 作戦 | 事業の方針・計画 |
| 戦場の状況 | 数字、現場、お客様、競合の動き |
| 命令(指揮権) | 社長の決定 |
並べてみると、変わらないものが見えてきます。
決めるのは社長。決めるための材料を整えるのが参謀。
中小企業には、経営企画室のような部署がないことがほとんどです。だから多くの場合、この役を担うのはNo.2や、社長がよく相談する幹部です。名刺に「参謀」と書いてあることは、まずありません。
参謀は役職の名前ではなく、役割の名前だと考えると分かりやすくなります。
ビジネスでの参謀の役割——3つを「整えて」届ける
定義にある「情報・選択肢・視点」を、ひとつずつ見ていきます。
① 情報を整える——事実に「意味」をつける
社長のもとには、いろいろな情報が集まってきます。数字、現場の声、取引先の話、うわさ話。
参謀の仕事は、それをそのまま運ぶことではありません。
「売上が5%落ちました」で止めずに、「落ちたのは単価で、原因は値引きが増えたことです」まで整えて渡す。社長が次に何を考えればいいか分かる形にしてから届けます。
② 選択肢を整える——「どうしますか」で終わらせない
「どうしましょうか」と聞くだけだと、考える作業が全部社長に戻ってしまいます。
参謀は、A案・B案と、それぞれの良い点と副作用をそろえて持っていきます。自分の意見があれば「わたしはA案がいいと思います」と添えてかまいません。
ただし、渡すのは結論ではなく選択肢です。選ぶのは社長です。
わたしはいつのころからか、社長に「いいね、それで行こう」と言ってもらえたら勝ち、と思って仕事をするようになりました。
自分の案を押し通すのではありません。材料と選択肢をそろえて、社長の口からその一言が出る状態をつくる。決めたのは社長で、土台を整えたのはこちら。その一言が出た日は、心の中で小さくガッツポーズをしていました。
③ 視点を整える——社長が見ていない角度を足す
3つめが、いちばん参謀らしい仕事です。
社長の案に対して、決まる前に「こういう見方もあります」と別の角度を差し出す。リスク、反対意見、現場で起きそうなこと。
社長が乗り気の話ほど、ここは言いにくいものです。でも、社長のまわりに賛成する人しかいなくなると、決断の質は確実に落ちていきます。
そして、決まったら支える側に回る
材料を整えて届けたあと、社長が自分の意見と違う判断をすることもあります。
そのときは、決まった案を全力で支える側に回ります。
わたしは、自分の案が通らなかったときは、決まった案を「社長の買い物」と割り切って取り組むようにしていました。
最後にお金を出して、責任を持つのは社長です。社長が選んで買ったものなら、あとはそれがいちばんうまくいくように動く。そう考えると、気持ちを切り替えやすくなります。
決まる前は遠慮なく意見を言う。決まったあとは蒸し返さない。矛盾して見えますが、順番の話です。決まったあとも「自分は反対だった」と言い続けると、それは参謀ではなく評論家になってしまいます。
社長の決断を引き出すための具体的な考え方は、参謀型No.2の思考法——社長の決断を引き出す4原則にまとめています。この記事は「参謀とは何か」、あちらは「参謀としてどう考えるか」の話です。

番頭・参謀・右腕・調整役・No.2の違い【比較表】
どれも「社長の近くにいる人」を指すので、混ざって使われがちです。でも、担っているものはそれぞれ違います。
まず、言葉の意味をそろえておきます。
- 番頭……主人に代わって、店の実務全体を切り盛りする人。いまの会社なら、現場と日々の運営を任される実務の責任者
- 参謀……社長が最良の決断をできるよう、情報・選択肢・視点を整えて届ける人
- 右腕……いちばん信頼して仕事を任せられる人。役職ではなく、信頼関係をあらわす言葉
- 調整役……立場や利害の違う人のあいだに立ち、話を通して物事を前に進める人
- No.2……社長と現場のあいだに立つ人。場面に応じて、番頭・参謀・右腕・調整役の役割を担う
これを、4つの軸で並べるとこうなります。
| 呼び方 | 主に向き合う対象 | 仕事の中心 | 強み | 陥りやすい落とし穴 |
|---|---|---|---|---|
| 番頭 | 現場と日々の運営 | 決まったことを回す。社長がいなくても現場を動かす | 段取り、実行力、現場の把握 | 自分で抱え込み、社長に判断の材料が上がらなくなる |
| 参謀 | 社長の判断 | 決まる前の材料(情報・選択肢・視点)を整える | 分析、先読み、言いにくいことを言う力 | 正解を出そうとして、社長の代わりに決めてしまう |
| 右腕 | 社長その人 | 信頼して任されたことを、社長の意図どおりにやりきる | 社長との信頼関係 | 何でも引き受けて、何でも屋になる |
| 調整役 | 人と人、部署と部署のあいだ | 立場の違う人の話を通し、物事を前に進める | 聞く力、言葉を置き換える力、根気 | 誰が決めるのかあいまいなまま、板挟みで消耗する |
| No.2 | 社長と現場の両方 | 場面に応じて、4つの役割を切り替える | 上と下の両方に足をかけられる位置 | 得意な1つの役割だけで、全部をこなそうとする |
社長のひとことで見分ける
表だけだとイメージしにくいので、もうひとつ見分け方があります。社長があなたに声をかけるとき、どんな言葉で頼んでくるかです。
| 社長のひとこと | 求められている役割 |
|---|---|
| 「どう思う?」 | 参謀 |
| 「留守のあいだ、現場を頼むよ」 | 番頭 |
| 「これは、きみにしか頼めない」 | 右腕 |
| 「営業と製造、うまくまとめておいて」 | 調整役 |
| 上の全部を、場面ごとに言われる | No.2 |
「どう思う?」と聞かれているのに、「やっておきます」と実務で返していませんか?
逆に「頼むよ」と任されているのに、意見を並べて返していませんか?
役割のずれは、たいていこの返し方のずれとして表に出てきます。
「決まる前」か「決まったあと」か
もうひとつ、区別の軸を持っておくと迷わなくなります。
- 参謀は、主に決まる前に社長を支えます
- 番頭は、主に決まったあとを現場で回します
- 調整役は、決まる前も決まったあとも、人のあいだで話を通します
そして、右腕だけは、この並びに入りません。
右腕は「どんな仕事をするか」ではなく、「どれだけ信頼されているか」をあらわす言葉だからです。参謀として信頼されている人も、現場を任されている人も、右腕と呼ばれることがあります。右腕は、ほかの役割に重なる言葉なのです。
同じ人が兼ねるのは、ふつうのこと
中小企業では、1人のNo.2がこれを全部兼ねるのがふつうです。兼ねること自体は、何も問題ありません。
困るのは、社長が求めている役割と、本人がやっている役割がずれているときです。
とくに、実務を回すのが得意な人ほど、参謀の場面では力を出しにくいことがあります。実務を回す力は「決まったことを確実にやる力」。参謀に必要なのは「決まる前に疑う力」。向きが逆だからです。
どちらが上という話ではありません。いま自分がどの顔を求められているのかを分かっているかどうか、の話です。
番頭という言葉の由来と、いまの会社での置き換えは番頭とは——意味と、建設業や旅館での役割、No.2との違い、調整役の仕事と消耗しない考え方は調整役とは——仕事内容と、板挟みで疲れない立ち方でくわしく書いています。No.2という立場そのものの役割はNo.2の役割とは——組織のスピードを調整する仕事もあわせてどうぞ。
参謀と混同されやすい言葉——ブレーン・顧問・側近
5つの言葉のほかにも、参謀と近い言葉があります。違いを押さえておくと、自分の立ち位置がはっきりします。
| 言葉 | どういう人か | 参謀との違い |
|---|---|---|
| ブレーン | 知恵や専門知識を貸してくれる人(その集まり) | 知識を提供する面が強い。社長の決断のそばに、いつもいるとは限らない |
| 顧問・コンサルタント | 契約で関わる社外の専門家 | 外から客観的に見られる。一方で、社内の人の動きや日々の空気までは届きにくい |
| 側近 | 社長のそばにいる人 | 近くにいることを指す言葉。近いから参謀、とは限らない |
| イエスマン | 社長の案に賛成する人 | 視点を足さない。参謀のいちばん反対側 |
見落としやすいのが、側近とイエスマンです。
社長のそばにいて、社長の話をよく聞いている。それだけだと、参謀のように見えることがあります。でも、社長が見ていない角度を足していなければ、参謀の仕事はしていないのです。
参謀は、「社長の高さ」に「現場の細かさ」を持って上がって、考えられる人
参謀が社長の決断を支えるには、社長と同じ高さから状況を見る必要があります。
ただ、社長の高さは、その下の立場からは見えにくいものです。どの立場にいても、自分の周りと下は見えます。見えないのは上だけです。これは能力の差ではなく、立っている位置の話です。この考え方は視座・視野・視点の違い——使い分けと、視座を高める方法でくわしく書きました。
だから参謀は、材料をそろえる前に「自分が社長だったら、この話で何をいちばん心配するだろう」と想像します。見えない高さを、想像で埋めにいくわけです。
一方で、高いところからは範囲は広く見えても、細かさは落ちます。社長の位置からは、現場の一人ひとりの様子までは見えにくくなります。
参謀の価値は、ここにもあります。
社長の高さに、現場の細かさを持って上がって、考えられる人。
社長のところまでは届きにくい現場の事実を持って上がり、社長と同じ景色を想像しながら考える。この行き来ができるから、社長が一人ではそろえられない材料を届けられるのです。
参謀が機能しない3つのパターン
参謀がいるはずなのに、うまく回っていない。そういう会社には、よくある形があります。
社長が答えを持って相談に来る
いちばん多い形です。社長の中で結論はもう決まっていて、賛成してほしくて相談する。
ここで空気を読んで賛成すると、参謀の役割は消えてしまいます。以後の会議は、社長のひとり語りになっていきます。
参謀が「正解」を出そうとする
こちらは参謀の側の失敗です。「答えを出さなければ」と気負って、結論をひとつだけ持っていく。
これは参謀ではなく、社長の代わりに決めている状態です。社長は選ぶ機会をなくし、納得しないまま進むことになります。渡すのは、正解ではなく選択肢です。
反対したことを根に持たれる
これは組織の問題です。決まる前に反対した人が、あとで「あいつは協力的じゃない」と扱われる。
一度でもこれが起きると、誰も反対しなくなります。反対を歓迎する態度を、社長が言葉と行動で見せる必要があります。
反論できる組織のつくり方は心理的安全性とは——反論できる組織をつくる経営者の役割、社長の判断に待ったをかける伝え方はボスマネジメントとは——社長の判断軸をつかむNo.2の技術で書いています。
参謀に向く人・向かない人
参謀に向いているかどうかは、性格の明るさや頭の良さより、考え方のくせで決まります。
| 参謀に向く人 | 参謀に向かない人 |
|---|---|
| 「そもそも、なぜこれをやるんでしたっけ」と前提に戻れる | 目の前の段取りから考えはじめる |
| 数字と現場の両方を見て判断する | 数字だけ、現場の感覚だけのどちらかに偏る |
| 悪い情報ほど先に持っていく | 社長の機嫌を見て、報告のタイミングを選ぶ |
| 自分の案が「社長の決断」になっても平気 | 自分の案だと認めてほしい |
| 決まるまでは結論を急がない | 会議で最初に結論を言ってしまう |
| 反対したあとも、決まれば支えられる | 通らなかった案に、こだわり続ける |
いくつか補足します。
「そもそも」と言えるか
参謀の仕事は、社長の案をよりよくすることです。そのためには、案の中身より先に前提を疑えるかどうかが効きます。ちなみに「そもそも」は、わたしの口癖でもあります。
悪い情報を先に出せるか
社長の決断を狂わせるのは、たいてい「知らされていなかった悪い情報」です。聞かれる前に持っていけるかどうかで、参謀としての信頼は大きく変わります。伝え方はNo.2が身につけたい悪い情報の社長への伝え方にまとめています。
手柄を手放せるか
意外と大事なのがここです。参謀の仕事は、しくみとして手柄が社長のものになります。自分が考えた案が「社長の決断」として語られても平気でいられないと、この立場は長く続きません。
とはいえ、人間なので、何も感じないわけではありません。
わたし自身、自分の案が「社長の決断」として扱われるのは、まったく問題ありませんでした。ただ、社長と2人で話しているときに「俺の手柄だ!」と言われ続けたときは、正直、少しイラッとしました。
外に向けては、社長の決断でいい。そのうえで、そう感じる自分がいても、おかしなことではありません。手柄を手放すというのは、何も感じなくなることではなく、感じても仕事の手を止めないことだと思っています。
向かないと感じても、がっかりしなくていい
右の列にあてはまるものが多くても、能力が足りないという話ではありません。役割との相性の話です。
結論を早く出せる人、段取りから考えられる人は、現場を回す場面や人をまとめる場面で力を発揮することが多いものです。No.2は場面ごとに4つの役割を切り替える立場なので、全部が得意である必要はありません。
人の特性と役割の合わせ方は、ゼークトの組織論とは——「無能な働き者」の本当の出典と使い方も参考になると思います。
参謀を目指す人が、明日からできること
いきなり参謀らしく振る舞おうとしなくて大丈夫です。まずは、ふだんの報告と相談を少し変えるところから始めてみてください。
- 社長が決めたことの「理由」を聞いて、メモしておく……結論ではなく理由を集めると、社長の判断のものさしが少しずつ分かってきます
- 相談には、選択肢を2つ持っていく……「どうしましょう」を「A案とB案、どちらにしましょう」に変えるだけです
- 反対意見は、決まる前に1対1で伝える……会議の場で言うより、社長も受け取りやすくなります
- 悪い情報は、いい情報より先に出す……順番を変えるだけで、信頼のされ方が変わります
社長が参謀を持つために
ここは経営者の方に向けて書きます。
参謀は、採用すれば手に入るものではありません。社長の側の習慣で育ちます。
- 結論を言う前に、意見を聞く……順番を逆にするだけで、相手が考えはじめます
- 判断の理由を、毎回ひとこと話す……「なぜそう決めたか」が伝わると、判断のものさしが相手に移っていきます
- 反対されたら、お礼を言う……ここがいちばん難しく、いちばん効きます
- 2人のときは、ひとこと「助かったよ」と言う……外では社長の決断でかまいません。ただ、案を整えた人も人間です。2人きりのときのひとことが、次もまた本気で材料をそろえる力になります
- 「きみには参謀として意見がほしい」と役割を言葉にする……求めている役割を伝えないと、相手は実務で応えようとします
最後の1つは、比較表の話とつながっています。求めている役割がずれたままだと、どれだけ優秀な人がいても「うちには参謀がいない」と感じ続けることになります。
よくある質問
Q. 参謀の読み方は?
「さんぼう」です。「参」は加わる、「謀」ははかりごと。はかりごとに加わる人、という意味の言葉です。
Q. 参謀は英語で何と言いますか?
軍隊の参謀は「staff officer」、トップを支える幹部の役職としては「chief of staff」が近い言葉です。ビジネスで「頼りになる相談相手」くらいの意味なら、「advisor」や「right-hand person」などが使われます。
Q. 参謀と右腕は、どちらが上ですか?
上下の関係ではありません。参謀は「どんな仕事をするか」、右腕は「どれだけ信頼されているか」をあらわす言葉です。参謀として働く人が、社長から右腕と呼ばれることもよくあります。
Q. 社員が少ない会社にも、参謀は必要ですか?
社長ひとりで決めることが多い会社ほど、必要だと思います。専任の参謀を置かなくてもかまいません。No.2や幹部が、場面によって参謀の顔を持てれば十分です。
Q. 社外の人に参謀をお願いしてもいいですか?
顧問やコンサルタントなど、社外の知恵を借りるのは心強いことです。ただ、社内の数字や人の動きを日々見ている人の代わりにはなりにくい面があります。社外の知恵と、社内の参謀役。両方あるのが理想です。
Q. 参謀は、社長に反対してもいいのですか?
決まる前なら、むしろ反対意見を出すのが参謀の仕事です。大事なのはタイミングで、決まったあとは支える側に回ります。「決まる前は言う、決まったら支える」と覚えておくと迷いません。
Q. 参謀と軍師は、何が違いますか?
主君の判断を知恵で支えるという中身は似ています。違うのは、軍師が物語や歴史の中で語られる「ひとりの知恵者」の呼び方なのに対し、参謀は近代の軍隊で組織の中に置かれた役職だという点です。会社で言うと、軍師は社外から知恵を貸す人、参謀は社内で社長の決断を支える役割に近いと思います。
まとめ
- 参謀とは、社長が最良の決断をできるよう、情報・選択肢・視点を整えて届ける人
- もとは軍隊の言葉で、司令官を支える専門職。指揮権を持たないのが特徴。決めるのは社長
- 会社での役割は、情報を整える・選択肢を整える・視点を整える。そして決まったら支える側に回る
- 番頭は現場を回す人、右腕は信頼して任せられる人、調整役は人のあいだで話を通す人。No.2は場面に応じてその全部を担う
- 参謀は「決まる前」、番頭は「決まったあと」。右腕だけは仕事の種類ではなく、信頼の深さ
- 参謀は、社長の高さに現場の細かさを持って上がって、考えられる人
- 向き・不向きは能力ではなく、考え方のくせと役割の相性
参謀は、決める人ではありません。決めさせる人です。
もしあなたが参謀の立場なら、次の相談のときに、結論をひとつ減らして選択肢をひとつ増やしてみてください。それだけで、社長の反応が変わるはずです。


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