人は「この人と一緒にいると、とても自由に振る舞える」と思えたとき、愛を実感することができます。
劣等感を抱くでもなく、優越性を誇示する必要にも駆られず、平穏な、きわめて自然な状態でいられる。
本当の愛とは、そういうことです。
── アルフレッド・アドラー
この言葉に、あなたはどう感じるでしょうか?
恋愛関係の話に聞こえるかもしれませんが、実はこれは職場の人間関係にも深く通じる言葉です。
「この人と一緒にいると、自然体でいられる」
その感覚があるとき、人は本来の力を発揮しやすくなります。
これは近年、マネジメントのキーワードとして注目されている「心理的安全性」にも直結する話です。
「反論しない部下」は、無能ではない
あなたの周りに、何を言っても反論しない社員はいませんか?
一見、素直で従順なように見えても、実は「本音を言えないだけ」かもしれません。
ハーバード大学の研究によれば、
「心理的安全性が低い職場では、優秀な人ほど沈黙する」というデータがあります。
つまり、反論がないのは「納得」ではなく「諦め」かもしれないのです。
心理的安全性とは、「安心して意見が言える」空気
心理的安全性とは、「この場で自分の意見を言っても、拒絶されない」という信頼感です。
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ミスを報告すると責められる
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意見を言ったら笑われる
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課題を指摘したら「言い訳するな」と言われる
こうした不安があると、人は口を閉ざします。
逆に、どんなときでも「まず受け入れてくれる」空気があれば、
人は自発的に動き出します。意見を出し、責任を持ち、考えるようになります。
自由でいられる関係性が、組織を強くする
アドラーが語った「自由でいられる関係性」は、
組織の中では「上下関係ではなく、対等な信頼関係」を指します。
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命令されるより、相談される
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評価されるより、尊重される
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管理されるより、任される
このような関係性がある組織では、人材が育ち、チームの自走力が高まります。
経営者・No.2が実践したい、心理的安全性を育てる関わり方
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「どう思う?」と問いかける習慣を持つ
→発言する“きっかけ”をつくる -
ミスを否定ではなく、次への材料と捉える
→「うまくいかなかったね、どう改善できそう?」という姿勢で -
完璧を見せるより、不安や迷いも共有する
→「一緒に考える」関係性が安心を生む
まとめ:人は“自由”を感じたとき、本当の力を出せる
人は評価や支配の中ではなく、「信頼されている」と感じたときに本来の力を発揮します。
アドラーのいう「自由でいられる愛」は、組織にも通じる原理です。
あなたの関わり方ひとつで、部下の行動も、空気も、組織の未来も変わっていきます。
まずはこの問いから始めてみてください。
「自分は、相手に“自由”を感じさせているだろうか?」
アドラーの心理学は、「課題の分離」や「横のつながり」等、他にも組織運営に使える考え方がたくさん詰まっていると思います。
もし興味がわいたら、以下の本をぜひ手に取ってみてくださいね。
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