── 1人1部門制で、責任と仕組みを“見える化”する ──
中小企業の創業フェーズや成長初期では、組織図なんてまだ早い…と思っていませんか?
実は「人が少ないからこそ組織図が必要」なのです。
誰が何をやっているのか、どこが手薄なのか。口頭や感覚だけでは伝わりにくいこうした情報を、視覚的に共有できるのが組織図の最大のメリットです。
今回は、社員5〜10名程度の会社で活用できる、シンプルで拡張性のある組織図の作り方を解説します。
なぜ、少人数の会社にも組織図が必要なのか?
5名程度の会社では、役割が曖昧なままでも「なんとなく回る」ことがあります。
しかし、成長の過程でその曖昧さは必ず限界を迎えます。
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誰が何を決めるのかが不明確
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属人化していて休めない・引き継げない
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新人が入っても何を教えればいいかわからない
こうした状態を防ぐためにも、最小単位での「部門と役割の見える化」が必要です。
小さな会社におすすめの部門構成(基本形)
社員数が5〜10名の場合、以下のような部門構成がおすすめです。
部門名 | 主な役割 |
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経営・戦略 | ビジョン策定、意思決定、資金調達 |
営業・マーケ | 新規顧客開拓、販促、提案活動 |
サービス提供 | 商品・サービスの設計・提供・改善 |
管理・経理 | 会計・給与・契約・労務 |
顧客対応 | 問い合わせ対応、フォロー、満足度向上 |
部門というと大げさに聞こえるかもしれませんが、**実際は“役割分担の整理”**に過ぎません。
1人1部門制とは?|少人数組織の最適解
「1人が1部門を担当する」という考え方を、私は「1人1部門制」と呼んでいます。
たとえば営業部門はAさん、経理はBさん、サービス提供はCさん…といった形で担当を割り当てます。
この方式のメリット
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責任の所在が明確になり、業務の抜け漏れを防げる
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自律性が高まり、仕事に主体性が出る
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将来的に部門を拡張・細分化する土台ができる
注意点
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現実的には兼任が前提。過負荷にならないよう業務量を調整すること
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組織の上下ではなく、横並びの役割として捉えることが重要
将来のために「空白の箱」を準備しておく
今すぐ人材を配置する必要はなくても、以下のような「将来的に必要になりそうな部門」は、組織図にあらかじめ“箱”として作っておくのがおすすめです。
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人事(採用・教育)
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広報(発信・ブランディング)
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新規事業(企画・R&D)
「そのうち必要になる」と思っていても、日々の業務に追われてなかなか手が回りません。あらかじめポジションを設けておくことで、役割移行や採用判断がしやすくなります。
まとめ|組織図は「役職の上下」ではなく「責任の地図」
社員が少ないからといって、組織づくりを後回しにするのはリスクです。
むしろ少数精鋭の段階だからこそ、「1人1部門制」で役割を見える化し、責任と仕組みの土台を作ることが、強いチームを育てる第一歩になります。
組織図は、今いる人のためだけでなく、これから入る人のための道しるべでもあります。
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