「あの人が休んだら、この業務は完全に止まってしまう」
あなたの会社にも、そんな業務がありませんか?
特定の人しかやり方を知らない。手順はその人の頭の中にしかない。本人に聞かないと誰も対応できない——。これが「属人化」です。
小さな会社では、属人化はごく自然に起こります。人が少ないのだから、一人がいくつもの業務を抱えるのは当たり前。問題は、それを「仕方ない」と放置してしまうことです。
属人化を放置すると何が起こるか
属人化のリスクは、その人がいなくなったときに一気に表面化します。
- 退職や急病で、業務が丸ごと止まる
- 引き継ぎしようにも、マニュアルも記録もない
- 本人にしか分からないので、ミスや不正に気づけない
- 「休めない」ことが本人の負担になり、辞める原因になる
とくに最後の一つは見落とされがちです。「頼れるあの人」は、実は「休めないあの人」かもしれません。属人化は、会社のリスクであると同時に、働く人の負担でもあるのです。
なぜ中小企業で属人化が起こるのか
理由はシンプルです。創業のころは、社長がすべての業務を担っていたはずです。そこから人が増えるたびに、「とりあえずできる人に任せる」形で仕事が割り振られていく。
計画的に権限を委譲したというより、「気づいたらその人の仕事になっていた」——多くの中小企業がこのパターンではないでしょうか。
わたしの会社も同じでした。4つの業種と8つの事業所を抱えるまで成長しましたが、事業所ごとに文化ややり方がバラバラで、「この業務はこの人しか知らない」だらけ。そこから仕組みづくりの試行錯誤が始まりました。
属人化から脱却する4つのステップ
ステップ1:業務の棚卸し(見える化)
まずは「誰が・何を・どうやって」やっているのかを全部書き出します。完璧な一覧でなくて構いません。「この業務、書き出せる人が一人しかいない」と気づくこと自体が第一歩です。
ステップ2:組織図をつくる
業務が見えたら、役割ごとに整理して組織図に落とし込みます。少人数でも組織図は必要です。詳しくは小さな会社こそ組織図が必要な理由と作り方で解説しています。
ステップ3:マニュアル化・仕組み化
「その人の頭の中」を、誰でも見られる形に変えていきます。立派なマニュアルでなくても、チャットのやりとりを記録として残すだけでも効果があります。チャットを議事録として使う業務効率化の方法も参考にしてください。
ステップ4:意図的に「担当を外す」機会をつくる
仕組みができても、使われなければ属人化は戻ってきます。おすすめは、長期休暇制度などで強制的に引き継ぎが発生する状態をつくること。休暇制度で属人化を防ぐ中小企業の組織づくりで詳しく紹介しています。
まとめ:属人化の解消は「人を疑うこと」ではない
属人化の解消というと、「あの人から仕事を取り上げるのか」と受け取られることがあります。そうではありません。
誰かが安心して休める。誰かが抜けても会社が回る。それは、働く人を守る仕組みでもあります。
まずは業務の棚卸しから。あなたの会社の「あの人しか知らない業務」を、一つ書き出すところから始めてみませんか?
組織づくり全体の進め方は、中小企業の組織化の進め方と最初に取り組むこともあわせてご覧ください。


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