「単品管理」とは、セブン-イレブンの創業者である鈴木敏文氏が提唱した、商品一つひとつ(単品)ごとの売上データや販売動向を継続的に細かく分析し、各商品の販売戦略を個別に最適化する考え方です。この方法は、コンビニエンスストアの運営で培われたノウハウですが、小規模な店舗や個人商店でも十分に応用が可能です。
単品管理を実践する具体的な方法は以下の通りです。
単品管理の具体的な方法
商品別の販売データを収集する
毎日の売上を商品ごとに記録します。さらに曜日や時間帯、季節や天候、地域イベントなど外部要因も併せて記録すると、商品の売れ行きの傾向が明確に見えます。
例)
- 「雨の日は傘が通常の5倍売れる」
- 「昼12時~13時の間は弁当が急激に売れる」
データを分析し、売れ筋・死に筋を見極める
集めたデータをもとに、次のような分類をします。
- 売れ筋商品:高回転で安定して売れる商品。これらの商品は在庫切れがないよう管理し、店舗の目立つ位置に置きます。
- 改善が必要な商品:売上が思わしくない商品については、陳列方法や価格設定、販売時期を再検討します。
仮説と検証を繰り返す
データ分析から導いた仮説を実際に売場で試します。その結果をデータで再び確認し、改善点を洗い出します。
例)
- 「朝の通勤客が多い時間帯にパン類をレジ近くに置いたら売上が伸びるか?」と仮説を立て、一定期間試して効果を測定します。
単品管理を活かすフェイシングの考え方
「フェイシング」とは、商品を棚に陳列する際の見える面(フェイス)の数を調整することで、商品の売上を最大化する方法です。単品管理で把握した売れ筋商品には、多くのフェイスを確保して視認性を高める一方、売れ行きが悪い商品はフェイス数を減らして棚効率を向上させます。
例)
- 売れ筋飲料は売れ筋上位順に列数を確保して並べ、目につきやすくする
→10列ある場合は、商品の売れている比率を考えて5:3:1:1のフェイシングをする、など - 動きが鈍い商品は1列のみにし、余ったスペースを他の商品に充てる
単品管理がもたらす効果
- 商品ごとの売上状況を把握し、無駄な在庫を削減できます。
- お客様が本当に欲しい商品を的確に提供でき、顧客満足度が向上します。
- データに基づいた客観的な販売戦略が立てられ、店舗の収益性が高まります。
単品管理を日々の店舗運営に取り入れ、小さな起業や個人商店でも効率的に売上アップを実現しましょう。
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