「なぜこの商品を置いているのか?」
日々の店舗運営で忙しくしていると、品揃えが惰性になっていませんか?
セブン-イレブンを日本一のコンビニチェーンに育てた鈴木敏文氏は、売り場の品ぞろえと単品管理に徹底的にこだわりました。これは、中小企業や個人店舗にも応用できる極めて実践的な考え方です。
この記事では、「なぜそれが売れるのか?」「なぜそれを置くのか?」を科学的に考えるヒントをお届けします。
品揃えは“お客様の立場”から始まる
「お客様のために」ではなく「お客様の立場で」
これは鈴木氏が繰り返し説いたキーワードです。 「お客様のために」と考えると、どうしても売り手の都合が入ります。 一方、「お客様の立場で」考えると、「この場面で自分なら何を選ぶか?」という視点が加わります。
例えば:
- 雨の日に買い物をする主婦は、何を求めている?
- 昼休みに急いで買い物をする会社員は、どんな商品を手に取りたい?
店舗の品揃えは、そうした“行動の裏にある心理”に寄り添うことで変わっていきます。
単品管理が売れ筋を教えてくれる
「売れた/売れなかった」を、商品ごと・時間帯ごとに把握する。
これが単品管理の基本です。 「なんとなく売れてる」ではなく、
- いつ売れているのか?
- どの時間帯に?
- どの属性の人に? を想像することで、売上の理由が見えてきます。
たとえば、
- 午前中に菓子パンがよく売れる → 朝ごはん代わり?
- 雨の日はホット飲料が伸びる → 気温との関係?
こうした「売上の理由」を想像し、仮説を立て、次の仕入れに反映する。 それが“考える商売”です。
品揃えと単品管理はセットで回す
単品管理を続けると、「売れる商品」がわかってきます。 その“売れる理由”をもとに、品揃えを見直す。 すると「選びやすい売場」「売上が取れる棚」ができていきます。
つまり、
- 仮説(この商品が今必要かも)
- 実行(仕入れて陳列)
- 検証(単品管理で分析)
- 改善(品ぞろえを調整) というPDCAを、商品単位で回すのが、鈴木式の商売。
これは、どんなに小さな商店でも今日からできることです。
商品マトリクスで全体を見渡す
単品管理で「1つの商品」を見ていく一方で、店舗全体としての「商品構成のバランス」を把握するのに役立つのが「商品マトリクス」です。
例えば、以下のように分類してみましょう:
商品カテゴリ | 高回転・高利益 | 高回転・低利益 | 低回転・高利益 | 低回転・低利益 |
---|---|---|---|---|
惣菜 | ◎ | ○ | △ | × |
飲料 | ○ | ◎ | × | △ |
このように「売れる・利益が出る」商品の比率を可視化することで、
- 利益は出るが回転率の悪い商品
- 売れているが利益が出ていない商品 に気づきやすくなります。
売場の棚は有限です。 だからこそ、「売上」「利益」「回転率」の3軸で商品を見直す視点を持ちましょう。
また、商品の性質ごとのマトリクスも大切です。こちらは2軸にはならないことが多いでしょう。
例えばサンドイッチなら、価格帯を縦軸に、横軸には「野菜系」「肉系」「魚系」といった軸がとられます。
取扱商品は、偏りなくバランスよくそろっているか?常に意識することが大切です。
まとめ
「商品は、お客様の声を代弁している」
売れたという事実に耳を傾け、売れない理由に目を向ける。 品揃えと単品管理を味方につければ、売上のヒントは必ず見つかります。
さらに、商品マトリクスの視点を取り入れれば、 店舗全体の“商品力”が見えてきます。
難しいことはありません。 「売れた理由」「売れない理由」を、1日1回、考える時間を取るだけでOK。
鈴木敏文式の商売の原点、中小企業・個人店舗にもピッタリの視点です。
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