「気づけば、会社のことは全部わたしがやっている」
そんな状態になっていませんか?
朝いちばんに出社して、現場に立ち、クレームに対応し、数字をチェックして、夜は請求書の処理。社長が誰よりも働いているのに、なぜか会社は成長しない——。
それ、オーナーズトラップかもしれません。
オーナーズトラップとは
オーナーズトラップとは、中小企業や個人事業において社長だけが忙しくなり、社長の限界=企業の限界となって事業の成長が止まってしまう状態のことです。
「技術者(職人)の病」と呼ばれることもあります。起業家の多くは、もともと優秀な個人プレイヤー。自分でやったほうが速いし、質も高い。だからこそ、すべてを自分で抱え込んでしまうのです。
・従業員が定着しない
・従業員の自主性・モチベーションが低い
こうしたお悩みがある会社は、知らぬうちにオーナーズトラップにハマっているかもしれません。恥ずかしながら、わたしの会社もしっかりハマっていました。

オーナーズトラップ チェックリスト
あなたの会社は大丈夫でしょうか。以下のチェックリストで確認してみてください。
- 社長が現場最前線に立っている
- 従業員との関係性が悪い、または薄い
- 業務に追われている
- 経営ビジョンが浸透しない
- 優秀な社員が採用できない
- 従業員が定着しない
- ライバル企業と差別化できない
- 会社がまとまらない
- 従業員や後継者と将来が共有できない
2〜3個当てはまったら、オーナーズトラップにハマっている可能性が高いです。
オーナーズトラップの本当の怖さ
この罠の怖いところは、働き者の社長ほどハマりやすいという点です。さらに——
- ハマっていること自体に気づきにくい
- 気づいても、抜け出し方が分からない
- 抜け出す過程で、必ずボトルネック(収益縮小などの痛み)を通る
- 一度抜け出せたと思っても、知らぬ間に再び陥ってしまう
とくに3つ目は重要です。社長が現場を離れれば、一時的に品質や売上が落ちることがあります。ここで「やっぱり自分がやらないとダメだ」と現場に戻ってしまうと、振り出しです。この痛みは、組織が育つための通過点だと捉えてください。
オーナーズトラップからの脱却——7つの取り組み
脱却の道筋は、「社長にしかできないこと」以外を仕組みと人に移していくことです。具体的には次の7項目に取り組みます。
- 企業の価値観を洗い出し、再構築する
- 戦略目標を立てる
- 組織戦略を組む
- 管理システムを構築する
- 人材戦略を立てる
- マーケティング戦略を立てる
- システム戦略を立てる
順番に意味があります。仕組みやシステムから入りたくなりますが、土台になるのは価値観と戦略です。ここが曖昧なまま仕組みだけつくっても、結局「社長が全部判断する会社」のままだからです。
組織づくりの具体的な第一歩は、中小企業が属人化から脱却するための組織づくり入門と中小企業の組織化の進め方と最初に取り組むことで解説しています。また、社長の右腕となるNo.2の存在も脱却の大きな鍵になります。詳しくはNo.2をつくる経営——中小企業に幹部が必要な理由をご覧ください。
参考書籍
オーナーズトラップを深く理解するのに役立つ本を置いておきます。
1つ目と2つ目は、実は内容がほぼ同じです。1つ目のほうが物語調で読みやすいので、最初の一冊にはこちらをおすすめします。3つ目は原作の洋書です。
まとめ
社長が頑張るほど会社が成長しなくなる——オーナーズトラップは、それほど皮肉な罠です。
抜け出す鍵は、もっと頑張ることではなく、「自分がいなくても回る仕組み」をつくること。まずはチェックリストで現在地を確認するところから始めてみませんか?


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