あなたの会社の管理職、疲弊していませんか?「罰ゲーム化」のサインと経営者にできること

「うちのリーダー、最近元気がないな」

そう感じたことはありませんか。残業が続いている、返事が遅くなった、表情が険しくなった——。そうした変化を「本人の問題」として見過ごしていると、ある日突然「辞めます」という言葉が飛んでくることになりかねません。

パーソル総合研究所が2026年のトレンドワードとして提唱した「管理職の罰ゲーム化」。これは大企業の話でも、他社の話でもありません。中小企業においては、一人の管理職が担う役割の幅が大きい分、むしろ深刻になりやすい問題です。

そして経営者として見落としがちなのが、「罰ゲーム化の原因の一部が、自分の行動にある」という事実です。

この記事では、現場で起きているサインの見つけ方と、経営者として今すぐできる具体的なアクションをお伝えします。

💡 No.2・幹部の方へ:「自分自身が板挟みでしんどい」という場合は、当事者視点で書いたこちらの記事もどうぞ。→ 「No.2の仕事、しんどくなっていませんか?」


まず確認を。あなたの会社の管理職に、このサインはありませんか?

「大丈夫です」が増えた管理職を信用しすぎない

経営者が「どう?うまくいってる?」と聞いたとき、管理職はほぼ例外なく「大丈夫です」と答えます。これは弱みを見せたくない、心配をかけたくない、という気持ちからくるものですが、実態を反映していないことが多いです。

言葉ではなく、次のような行動の変化に目を向けてみてください。

  • 残業時間が以前より増えた、もしくは休日に連絡が来るようになった
  • 会議での発言が減り、表情が硬くなった
  • 部下から「最近○○さん、話しかけにくい」という声が上がってきた
  • ミスや抜け漏れが増えた、あるいは報告・連絡が遅くなった
  • 有給休暇をまったく取れていない

一つでも当てはまるなら、注意が必要です。これらは「本人の意欲の問題」ではなく、処理しきれない負荷がかかっているサインである可能性が高いです。


経営者が知らずに「罰ゲーム」を作っているパターン

権限を渡した「つもり」になっていませんか?

中小企業の経営者からよく聞く言葉に「任せている」があります。しかし実態を聞いてみると、最終決裁は経営者が握ったまま、稟議や報告のフローが複雑で、管理職が動くたびに承認を取りに来ないといけない——というケースが少なくありません。

「任せた」という言葉と「権限を渡す」は、まったく別のことです。予算執行の上限、採用・評価への関与度、対外交渉の判断権——こうした実質的な権限が伴っていなければ、管理職は「責任だけ負わされた人」になります。

仕事の総量を把握していますか?

経営判断で「新しいプロジェクトを立ち上げよう」「この業務も整備しよう」と動かすたびに、その実務を担うのは管理職です。しかし経営者が管理職の現在の業務量を正確に把握しているケースは、意外と少ない。

「あの人ならできる」という信頼は大切です。しかし、信頼と過負荷は紙一重です。任せる前に「今、何を抱えているか」を確認する習慣が、罰ゲーム化を防ぐ最初の一手です。


経営者にできる3つのアクション

①管理職の仕事量を「見える化」する

まず着手すべきは、管理職が今どんな仕事をどのくらい抱えているかを把握することです。週次の簡単な業務報告でも、1on1でのヒアリングでも構いません。ポイントは「どのくらい忙しいか」ではなく、「何に時間を使っているか」を具体的に聞くことです。

「プレイヤー業務とマネジメント業務の比率はどのくらいですか?」この一問だけで、実態が見えてきます。理想的には、マネジメント業務が6〜7割を占めていることが望ましいとされています。逆転しているなら、構造の見直しが必要なサインです。

管理職の頭の中の負荷を減らすという視点では、「脳のリソース」を意識した働き方の設計も有効です。

📎 関連記事「脳のリソースを空ける」という働き方 ── 判断疲れを防ぐ仕組みづくりのヒント

②「権限」を本当の意味で渡す

管理職が自律的に動けるよう、意思決定の権限を明文化することをお勧めします。「金額○万円以内の発注は管理職判断でOK」「採用の最終面接は管理職が行う」など、具体的な線引きを設けるだけで、管理職の動きやすさは大きく変わります。

経営者として「細かいことまで把握したい」という気持ちはわかります。しかし、すべての判断に関与し続けることは、管理職の成長を止めるだけでなく、経営者自身の時間も奪います。信頼して任せることが、結果として会社の速度を上げます。

③「管理職であること」を正当に評価する

罰ゲーム化が進む背景のひとつに、「管理職になっても、プレイヤー時代と報酬がほとんど変わらない」という現実があります。マネジメントという高度な役割を担いながら、処遇がそれに見合っていないと感じれば、「管理職になりたくない」という空気が会社全体に広がります。

給与水準の見直しが難しい場合でも、「評価の基準を明示する」「マネジメントの成果を可視化して認める」といったことから始められます。報酬だけが動機ではありません。「ちゃんと見てもらえている」という実感が、管理職のモチベーションを支えます。


まとめ:管理職が疲弊すると、会社全体が止まる

管理職が倒れたとき、一番困るのは会社です。採用コスト、育成コスト、現場の混乱——失うものは計り知れません。

「強い会社」とは、経営者だけが頑張る会社ではなく、管理職が自律的に動き、現場が育ち、仕組みが回る会社です。そのためにまず経営者がすべきことは、管理職を「使い切る」のではなく、「育てながら任せる」仕組みをつくることです。

今週、一度だけ管理職と「仕事の総量」について話してみてください。その会話が、会社の未来を変える第一歩になるかもしれません。


この記事を読んで「うちも当てはまるかも」と感じたなら、まず管理職との1on1を一つ設定することから始めてみてください──話すだけで、見えていなかったことが必ずひとつは見つかります。


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