キャッシュが尽きる前に気づく——月次で見るべき数字3つ

会計・財務のしくみ

「売上も利益も出てるのに、なんか資金が苦しくて」

そう感じたことがある経営者は、少なくありません。

原因はたいてい同じです。PLは見ているけど、キャッシュを見ていない。利益そのものの見方は粗利率で経営を見る——売上より大事な数字の話で解説していますが、利益が出ていても資金は別物です。

黒字倒産という言葉があります。利益が出ているのに、現金が尽きて会社が立ち行かなくなる状態です。絵空事ではなく、中小企業では実際に起きています。

今回は「月次でこれだけ見ておけば、資金ショートに気づける」という数字を3つ紹介します。


数字① 月末の現預金残高

まず見るべきはシンプルにこれです。

今月末、口座にいくら残っているか。

試算表の貸借対照表(BS)の左上に「現金・預金」という項目があります。この数字を毎月末に記録するだけで、お金の増減トレンドが見えてきます。

確認するポイント
先月末より増えているか、減っているか
3ヶ月前と比べてどうか
翌月の支払い(給与・家賃・仕入れ)をカバーできるか

目安として、月商の1〜2ヶ月分の現預金を手元に持てていると、経営の安定度が高いとされています。

これが毎月減り続けているとしたら、何かを変える必要があるサインです。


数字② 売掛金の回収サイト

売上は立っているのに、お金が入ってこない——それが売掛金です。

売掛金の回収サイト=「売上が立ってから、実際に入金されるまでの日数」

たとえば月末締め・翌月末払いなら、回収サイトは30〜60日。これ自体は問題ありませんが、サイトが長くなるほど、帳簿上の売上と手元のお金のズレが大きくなります。

確認すべきは2つです。

① 売掛金の残高が増えていないか

売上に対して売掛金が異常に多い場合、回収が遅れているか、未回収が発生している可能性があります。

② 長期滞留している売掛金がないか

3ヶ月以上入金されていない売掛金は、回収リスクが高い。早めに状況を確認するべきです。

売掛金は「まだもらっていないお金」です。BSに載っていても、回収できなければ損失になります。


数字③ 資金繰り表の「最低残高」

現預金残高と売掛金を把握できたら、次は少し先を見ます。

来月・再来月、口座残高がどこまで下がるか。

これを確認するのが資金繰り表です。PLやキャッシュフロー計算書との違いは、PL・CF計算書・資金繰り表の違いと経営者の使い分け方で詳しく整理しています。

Excelで作る簡易版で構いません。やることは、毎月の「入ってくるお金」と「出ていくお金」を並べるだけです。

項目 6月 7月 8月
前月繰越 300万 280万 150万
売上入金 400万 300万 350万
仕入・外注 △150万 △120万 △130万
人件費 △200万 △200万 △200万
その他固定費 △70万 △70万 △70万
月末残高 280万 190万 100万

この表で見るべきは「最低残高」です。8月に100万まで下がるとわかっていれば、7月中に手を打てます。知らなければ、8月末に初めて気づいて慌てることになります。

資金ショートは、突然来るものではありません。たいてい1〜2ヶ月前から数字に兆候が出ています。それを見逃さないための表です。


3つの数字を毎月チェックする習慣

まとめると、月次で見るべきは以下の3つです。

数字 確認するポイント どこで見るか
① 現預金残高 増減トレンド・翌月支払いをカバーできるか BS(貸借対照表)
② 売掛金 残高の増減・長期滞留がないか BS/売掛金台帳
③ 資金繰り表の最低残高 2〜3ヶ月先の最低残高はいくらか 自社で作成

この3つを毎月10分で確認する習慣を持つだけで、資金ショートのリスクは大きく下がります。

「毎月の試算表を税理士からもらって、棚に積んでいる」という方は、まずBSの現預金残高と売掛金の2行だけでも見てみてください。そこから始めれば十分です。


まとめ

  • 黒字でも現金が尽きれば会社は止まる
  • 毎月末の現預金残高をトレンドで見る
  • 売掛金の残高と長期滞留をチェックする
  • 資金繰り表で2〜3ヶ月先の最低残高を把握する
  • まずBSの2行を見ることから始めればいい

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