「現場に行かなくても会社が回るようにしたい」
「現場はもうスタッフに任せている」
そう話す経営者の方は多くいます。
この考え自体は、決して間違っていません。
むしろ、経営者がすべてを見なければ回らない状態では、事業はスケールしません。
ですが、「任せる」ことと「見ない」ことを混同してしまうと、経営は一気に危うくなります。
「オーナー不在でも回る仕組み」は“見える化”の結晶
たとえば、毎日の売上・粗利がリアルタイムで確認でき、
各チームが自律的に判断できるよう、指針と基準が共有されている状態。
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会議体が機能している
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数字が共有されている
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判断軸が浸透している
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人材育成の仕組みがある
こうした状態なら、たとえオーナーが1週間不在でも、会社は正しい方向に進みます。
つまり、「見に行かなくても、見えている状態」が整っているということです。
「現場を見ない経営」は“放置”と紙一重
一方で、「最近現場には行っていない」「全部、◯◯に任せてるよ」という言葉が出てくるとき。
よく聞くと、
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報告はないけど、問題もないから大丈夫だと思う
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数字は月末にまとめて見るだけ
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トラブルが起きたときだけ呼ばれる
そんな状況になっていることがあります。
これは「信頼して任せている」のではなく、実態は「見ていない」だけ。
経営の手綱を離しっぱなしにするのは、“任せる”のではなく、“放置”です。
■なぜ混同されるのか?
「現場を見に行かない経営者」が、必ずしも悪いとは限りません。
ですが、それは“見える仕組み”を整えた上での話。
社長が多忙で、つい現場から遠のいてしまう。
でも、見るべき数字も、社員の声も、報告もない。
この状態が続くと、現場も「社長はうちに興味がない」と感じてしまいます。
■任せるために、まず「見える化」
「仕組みで回す」ためには、以下のようなポイントが重要です。
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KPIなどの業績を、定期的に確認できる仕組み
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スタッフやマネージャーからの報告・振り返りの導線
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判断基準や優先順位の共有(行動指針やバリュー)
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1on1や会議でのコミュニケーションの定例化
現場に行かなくても、“会社の今”が見えるようになれば、
安心して経営者は「本来やるべき仕事(未来を見る)」に時間を使えます。
■まとめ:「見ない」のではなく「見える仕組み」を
オーナーが現場に出ずとも回る仕組みは、社員の自走力と、仕組みによって実現します。
しかし、「現場を見ない経営」は、責任と意思の放棄にすぎません。
任せるために、まず“見える化”を整える。
その土台があるからこそ、安心して手を離せるのです。
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