「従業員のために」は間違い?組織が動き出す“視点の転換”とは

「従業員のために」は間違い?組織が動き出す“視点の転換”とは

「従業員満足度を上げたい」と思って、福利厚生を充実させたり給与体系を見直したりしているのに、なぜか現場はそれほど盛り上がらない。むしろ従業員の離職率が上がってしまった……そんな悩みを抱えていませんか?

もしかすると、その原因は「従業員のために」という視点で施策を行っているからかもしれません。

セブンイレブン創業者が説く「視点の違い」

セブンイレブンの創業者・鈴木敏文氏は、かつてこんな言葉を残しました。

「お客様のために」ではなく、「お客様の立場で」考えることが重要。

一見同じようですが、実は大きく違います。

「お客様のために」というのはあくまで企業の視点です。「こうしてあげたら喜ぶだろう」と企業側が考えるため、実際の顧客ニーズとずれる場合があります。一方、「お客様の立場で」とは、お客様がどんな状況で、どんな気持ちで商品を手に取るのかを想像し、共感する姿勢です。

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この視点の違いは、従業員に対してもそのまま当てはまります。

「従業員のために」と「従業員の立場で」の大きな違い

「従業員のために」と考えるとき、経営者やマネジメント側の自己満足になりがちです。「福利厚生が充実すれば喜ぶはず」「給料を上げればモチベーションが上がるだろう」と企業側が一方的に決めてしまうと、現場の実態や声と乖離するリスクがあります。

一方、「従業員の立場で」とは、現場の従業員自身が何を感じ、どんな問題に直面し、どんなサポートを必要としているのかを考える視点です。

たとえば、ある企業では、従業員のためにと無料のジムやカフェテリアを導入しましたが、ほとんど利用されませんでした。理由は、現場は残業が多く、使う暇もなかったからです。一方、別の企業では「従業員の立場で」考え、忙しい現場スタッフが使いやすいように、健康的なお弁当の無料提供を開始しました。結果、現場スタッフから高い評価を受け、職場満足度が向上しました。

「従業員の立場で」考えるための実践ポイント

では、どうしたら「従業員の立場で」考えることができるでしょうか?

ポイントは次の3つです。

  1. 現場に頻繁に足を運ぶ
    従業員がどんな環境で働いているかをリアルに観察しましょう。
  2. 定期的な対話(1on1など)を設ける
    定期的に従業員の本音を引き出し、「本当に欲しいもの」を直接尋ねてみましょう。
  3. 小さな仮説と検証を繰り返す
    大掛かりな施策を一気に実施せず、小さな試みを通じて従業員の反応を確かめ、改善していきましょう。

組織が変わる「共感」の力

経営者が従業員の立場になって共感を持つことで、従業員も「自分たちは大切にされている」と感じ、組織への帰属意識や信頼が高まります。その結果、自然と組織のパフォーマンスが上がり、離職率も下がるのです。

ぜひ「従業員のために」から「従業員の立場で」という視点の転換を行い、活力ある組織づくりを目指してみてください。

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